朝霞に烟るミヨゾティ
いつから 歩いていた
音のないこの通路を
綴る意味など知らないで
列から 抜け出してた
甘い誘いにつられて
雁字搦めの僕たちは
浮かんだ 涙と
明日と 足音
「直ぐ隣ですら見えぬなら、僕はどうすればいいの?」
それから いま 進んでく海底船
揺らいだ道筋を
僕らだって また 掻き分ける想定外
赤色の中で
歪んだ意図 視界の隅々まで
満たした感情を
泡みたいに ぷつぷつぷつ と吐き出した
斜がみる夢の中
そぞろに 並んでいた
薄れゆく窓の外に
届く言葉は持たないで
沈んだ 街を見ては
溜息を漏らす僕を
何度でも笑えばいいさ
錯(きか)んだ 昨日と
鼓動と 楫音(かじおと)
「歪み形(ゆがみなり)ですら癒えぬなら、僕はどうすればいいの?」
薄く照らす 灯は 頼りなく脆いけれど
鈍青はあるんだ
路の向こう また 「とまれ」まで探そうか
朝霞の糸
引きずる足 疲れたら休もうか
急ぐこともないし
かくれ鬼は もう 家に戻るのでしょう
未だ見えぬけれど
軋む碇 塞ぐ意志の先々
眠りに落ちたなら
目蓋の裏 ちかちかちか と極蒼外
浮き沈みの波止
よくある夜 涼やかな日月記
新しい世界(しかい)を
君はずっと まだ ひたすらに求めてた
明日を編む船の中
穂波のあした