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凡宵思案 解説

【前置き】
解説です、解説を始めます。
相変わらず論理の飛躍と思考の散り方が馬鹿なので大目に見つつ眺めてやってください。
今回の解説は歌詞のどこにどの思考実験パラドックスジレンマことわざその他諸々があたるのかがメインになります。歌詞自体にしっかりしたストーリーがあるわけではないので、突然変なものが出てきたりします。
歌詞で特にどうこうしている部分は【】、概念の名前は『』で表しています。
それではよろしくお願いいたします。

 

なんとなく最初の場面設定的には夜話からの変な夢をイメージしています。
ベッドに入って、さあ眠りに落ちようか、といったふわふわとした状態で、眠りにつくまでの間、とりとめのない話をしている、そういう感じです。そのせいでおかしな夢を見たんだね。

【歌詞解説】
「それから 【明日の話】」
ここは特に固定された概念ではないですが、「明日」はいつから見た明日なのか。
また、こういう問題では得てして自己存在が曖昧になりますので、明日は本当に来るのだろうか、などまあそういう感じの不安をぶいぶい煽っていく入りのジャブになります。
敢えて言うなら『世界五分前仮説』の一部や、また『来年の話をすると鬼が笑う』というあれとかこれとかです。

 

「【幕は下ろし】」
幕がかかっているのは劇場。というわけで『カルテジアン劇場』が入っています。
太陽もとうに落ちました。一日の幕も下りました。脳の中の「意識する私」も、次に身体が目覚めるまではおやすみです。

 

「【夜具の中夢を見ては】」

『邯鄲の枕』と、『胡蝶の夢』です。眠りに落ちる数瞬、意識は曖昧です。
今から見る夢は果たして夢なのか、それとも現実なのか。
自分は眠ろうとしているのか、それとも目覚めようとしているのか。

 

「ねえ 【君もお越し】」
『フェルミのパラドックス』です。お越すのは宇宙人。宇宙からの来訪者です。

 

「【枕は無し】」
彼らには枕が必要ない=寝ないのかもしれません。
もしかしたら自分も、本当は眠っていないのかもしれません。
『胡蝶の夢』です。『水槽の脳』でもあります。脳に枕は必要ない。

 

「【迂愚(うぐ)はまだ過去を見てる】」
過去も、現在も、未来も、すべてを見通すのが『ラプラスの悪魔』。
人間は「未来」を見ることはできません。「現在」を見ようとすると、それはすぐ「過去」になってしまう。
物理的に、「今」の視界は、ほんの数瞬前に目に入ったものです。それを脳で「見る」ためにはどうしてもタイムラグが発生します。
そういう意味で言っても、人間が見ているのは常に過去なのかもしれません。
その過去も、『世界五分前仮設』では確たるものとは言えません。
全知全能でない、迂愚な人間は、それでも過去を見るしかありません。

 

「【ただ まだ ああだ こうだ】」
『シュレディンガーの猫』や『ミュンヒハウゼンのトリレンマ』に見る、ずっとぐだぐだと論証を繰り返す、『無限後背』です。
猫が死んでいるかどうか生徒が確かめたことを聞いた教授が報告するまで理事長は猫が死んだことを知りませんが、教授にとって猫はどのタイミングで「死んだ」のでしょうか。それは生徒が確かめるまでか、それを聞くまでか。教授にとっては、生徒が伝えるまで「猫が生きていると聞く」世界線を捨てられません。さらに理事長にとっては…?理事長がたとえば猫の飼い主である奥さんに伝えるまで、奥さんにとってはどのタイミングで猫が「死んだ」のでしょうか。無限に広がっていきます。すこし違いますが、おおまかに言うとそんな感じです。

 

「【黙(もだ) 々 思うだけ?】」
『コウモリであることはどのようなことか』や『アビリーンのパラドックス』、『中国語の部屋』が下敷きです。
コウモリとしての生活をわたしたちは知りませんので、コウモリがコウモリであることをわたしたちはどんなに考えても知ることができません。
たとえば学校の教室でよくあることですが、みんなが言ってるからそう思っている人が居るのだろう、という考え方です。学園祭で劇をやろうかと先生が提案します。先生は生徒がなんだかやりたそうだから、自分はやりたくないけれど劇にしようと思っています。生徒もおおむね賛同します。自分はやりたくないけれど、まあ、先生がやろうと言い出したからやりたいのだろう。そうして劇をします。みんな別に劇をしたくなかったのだと気づいたのは、全部終わったあとでした。

 

「【いまさら 僕の話?】」
「僕」は、『不確定性原理』でボコボコにされた『ラプラスの悪魔』のことです。
いわば(一部は生きていますが)終わった、死んだ概念であるはずなのに、未だかっこいいのであちこちに引っ張り出される彼あるいは彼女はもう飽き飽きです。引っ張り出してごめんね。

 

「【書き屋降ろし】」
『無限の猿定理』です。猫の例も有名ですが、猿が適当にカタカタやっていればいつかシェイクスピアが出来るのなら劇作家は要らないわけです。ミシンじゃないんだから。

 

「【【ラグ】も過多【がたも来てさ】】」
ラグは前述のラグ、過去と現在のラグのことでもあり、思考実験のなかでも時間経過=ラグにより論理の破綻、がたが来ているものもたくさんあるんだっていうあれです。それこそ矛盾です。

 

「【諾 々 と 集(すだ)く】」
集くのはたとえばヤマアラシ、『ヤマアラシのジレンマ』に見るあのヤマアラシです。
また、高度に発達した文明の結末です。さきほどあげた『フェルミのパラドックス』で、宇宙人に未だ「会っていない」ことの説明として、『超越仮説』では、極度に文明が発達すると、なんかこうめっちゃすごい力がババーンってしたり(隕石の衝突であったり)、自分たちで核戦争やったりしてみんな勝手に滅ぶからほかの宇宙人に会えるようになるレベルまで成長しようがないんだよ!っていうやつです。わたしたちにも片鱗が見えますね。

 

「【濁 々 【噛み砕き】】」
『ポール・ワイスの思考実験』です。おそらくブラクラのひよこミキサーはこれから発想を得たんじゃないかなあと思うんですけれども、まあだいたいいま想像したやつで合ってます。「ひよこを試験管に入れてすりつぶしたとき、失われるのは何か」とワイスは問います。「ひよこ」と「すりつぶしたあとのひよこ」はまったく同一の成分でできていますし、物質上は、失われたものはなにもないわけです。確実になにかが失われているにもかかわらず。
つまり『還元主義』、一見不可解に見える生命現象も、これらがどう動くかを解明することによって完全にわかっちゃうんだ!っていう考え方には限界があるんだと示した思考実験です。

「噛み砕き」には『パーフィットのパズル』も意味を重ねてあるのですが、この概念は後ほど別の項で説明します。

「それなら 背伸びをおし 急くのは無し」
ここはとくにそんなつよい意味はないです。
たくさん難しいことが出てきたけれど、どうせ夢だし、ゆっくりと考えるといいよ。

 

「漁具はまた【空を釣らばこそ】」
『空性』です。釣果はなかった!やみくもに振り回しても空を切るだけです。
まあ空性はもっとかっこいい概念なのですが、ここでは単に「から/くう」という意味で使っています。

 

「程 々 に 解く 【夢は余程に揺らいだか?】」
『胡蝶の夢』です。現実が揺さぶられるほど、そんなにその夢は良かったの?

 


「【めいめい共倒れ!】」
たくさん意味を重ねました。
『臓器くじ』『ザ・バイオリニスト』『カルネアデスの板』などです。
いずれもこのあとにメインで出てきますので説明は省きます。

 

「ああ 【さがなき稚(いとけな)い凝(こご)】」
凝にはこりかたまるという意味があり、まあつまり思考停止です。
『ワニのパラドックス』は類似のパラドックスがたくさんありますが、今から子供を食おうとするワニが母親に「おれさまがいまからすることを当てたら子を食わないでやる」といったのに対し母は「あなたは子供を食うでしょう」と言ったことで、ワニは食ったら約束を破ることになるし、食わなくても約束を破ることになるという矛盾に陥ってしまうというやつです。自分が詰まる問題を出してしまうワニに食われそうになっているのは「さがなき稚い子」です。

 

 

「ああ 【クオリア・ウォーリアー!】」
『クオリア』とは、たとえば目の前の赤いりんごに対しこのりんごは「赤い」と認識する内面のことです。
わたしの見ている「赤」があなたの見ている「赤」と同一とは限りません。もしかしたらわたしだけ、みんなの見ている「緑」を「赤」だと思い込んでいるのかもしれないけれど、自分ではそれを確かめる術は持ちません。これを『逆転クオリア』といいます。
また、見た目も、行動も、人間と変わらないようにふるまいますが、そのふるまいに意識を持たない存在を『哲学的ゾンビ』といいます。
哲学者は日夜クオリアと戦っています(語弊のある表現)。

 

「【逆さまの様々(ようよう)】」
『逆転クオリア』です。ほんとうにさかさ?

 

「【モノクロマリーのラボ】の周りで」
『マリーの部屋』です。モノクロしか感知できないようにした部屋の中で、マリーは生まれてからずっと生きてきました。でもマリーは「色」という概念を知っています。さて、マリーがはじめて部屋から出たとき、彼女はたとえば赤色を見ただけでそれを「赤色」と認識できるでしょうか。『クオリア』の思考実験です。

 

「さあ【 「フーディエの夢はもう見飽きた?」】と」
フーディエは中国語で胡蝶のこと。『胡蝶の夢』はもう見飽きてしまいましたか?

 

「【うろうろヒェロナ】の出口を見つけて」
ヒェロナはギリシャ語で亀のこと。『アキレスと亀』『ゼノンのパラドックス』です。
この場合の「出口」はこのパラドックスの破綻をつくことです。

 

「【賢し子】と 君のことを愛した」
小賢しいのは人間。すべてを知る全知全能のたとえば神様は、「自らを全知全能でなくすること」もできるけれど、そうしてしまうと、もはや神様は全知全能でない。という『全能の逆説』を唱え、全知全能を消し去ってしまいました。

 

「【僕らと彼らの臍の緒】を」
『ザ・バイオリニスト』です。ある天才的なバイオリニストが死病にかかり、治す方法があなたと接続することだけだとします。あなたは彼または彼女と繋がっているあいだ完全な日常生活を送ることができません。あなたは拒否しましたが、ある朝起きるとそのバイオリニストの熱狂的なファンが勝手にあなたとバイオリニストを接続していました。これを解くとバイオリニストは死にます。あなたはどうしますか。というあれです。たとえ話にしてありますが、要するに胎児と母親の関係の話です。わーい臍の緒だ!

また、『オムファロス仮説』でもあります。
これは『世界五分前仮説』と似たようなものなのですが、アダムとイヴは完全な姿で神に作られたとありますが、仮に彼らにへそがあれば彼らは母から生まれたことになり、神が作ったわけではないとなってしまいます。へそがなければ完全な姿とは言えません。『オムファロス仮説』では、へそも、血液の中の老廃物も、胃の内容物さえ、すべてを最初から、神がおつくりになられた、と言っています。わーい臍の緒だ!

さらに、『双子のクローン赤ちゃん』です。
一卵性の双子をまったく、原子レベルで同じ育て方をするとまったく同じように育つまったく同じ人間になるのではないかという考え方です。わーい臍の緒だ!


「【繋ぐ手と 眩む目の向こう側】」
『マリーの部屋』です。ドアを開けて外に出た彼女は果たして。

 

「【ラプラスは笑んで言葉を編んだの、】」
『ラプラスの悪魔』です。彼または彼女は言います。

 

「【――僕を忘れて。】」
「そろそろこの欠陥品を静かに眠らせてはくれないか。」

 

「そしたら 別の話」
じゃあ、あなたではない、別の話をしましょうか。

 

「【【櫛】の歯越し】」
櫛はそのまま櫛。おおまかに言えば『居眠りをする床屋問題』と、『マクスウェルの悪魔』です。
止まってしまう床屋さんと、エントロピーに逆らう悪魔のあれこれです。ラプラスは眠らせましたので、こんどはマクスウェルのお話をしよう。ちなみにこの悪魔も葬り去られた存在です。

 

「【檻の中天(あめ)を見ては】」
『洞窟の比喩』、『囚人のジレンマ』、『死刑囚のパラドックス』などたくさんつめました。
どちらにせよいまやっているのは劇場です。天井があるのに、空を見た気になっている。
『水槽の脳』も入っています。檻の中です。

また、この「天」は『オルバースのパラドックス』のことでもあります。宇宙の恒星の分布がほぼ一様で、恒星の大きさも平均的に場所によらないと仮定すると、地球から見る天はその全部が埋め尽くされてしまって、明るいはずだ、というパラドックスです。しかし、オルバースが仮定した宇宙が成立するには、現在の宇宙の十兆倍も大きいものを作る必要がありました。そも、その前提から破綻していました。思考の檻です。

 

「ねえ 【寄る辺も無し】 夜も遅し」
『世界五分前仮説』では、自分の記憶どころか、世界中のどんな文献さえ、史料さえ、頼りないものです。

 

「【祝(ほ)ぐものは既に失せて】」
『臓器くじ』です。くじびきで世界中からひとりをきめ、有無を言わさず殺して解体し、臓器提供が必要な人々にそのひとの臓器を分配します。結果たくさんの人が救われました。たったひとりの犠牲で。レシピエントを言祝ぐべきドナーは、もうこの世に存在しません。

 

「【じめじめ】 と 【綴じ目】」 
じめじめは語感から沼男、『スワンプマン』。
綴じ目は『グルーのパラドックス』のことです。グルーとはグリーンとブルーのこと。グルーという言葉は、たとえば2050年1月1日までに初めて観測されたグリーンのものと、それ以降に初めて観測されたブルーのものを指します。グリーン、ブルー以前に、いったい2050年1月1日の「どこまでなのか」という綴じ目のことが議論されました。

 

「【締め 占め 【綴るだけ?】】」
カタカタと綴るのはタイプライター、『無限の猿定理』です。
『中国語の部屋』『チューリングテスト』でもあります。中国語を知らない人を小部屋に閉じ込め、マニュアルを与えて、部屋の外から差し込まれる紙にマニュアル通りに返信するように言います。彼または彼女はこの作業をずっと続けます。外から見れば会話は成立しています。外の人は中に中国語がわかっている人がいるのだ!と勘違いしますが、実際、マニュアル処理をしているだけです。それでも対話は成立します。
これはコンピュータの話に昇華されます。自分で考えているように見えるそれは、その実プログラムされたマニュアルです。

また、『リシャールのパラドックス』でもあります。数字をずっと羅列し、綴ります。

 

「これから 泣くのは止し 【その日の由】」
『世界五分前仮説』です。自己存在すら曖昧だからといって、泣く必要はありません。過去がどうであれ、ここにいるあなたはあなたです。

 

「マグの【波(は)に身を投じて】」
『海辺のピカソ』です。ピカソが海辺の砂に絵をかきました。それは素晴らしい芸術でありますが、それをカメラに捉えるべきでしょうか。あるいは、そのまま波にさらわれるのを眺めるべきでしょうか。

 

「【止処 歯止めなく】」
『無限後背』です。歯止めのない論証。

 

「【百々(どど)に繰り返して】」
『ゼノンのパラドックス』に見るように、永遠に分割していくタイプのパラドックスです。
繰り返すのはまた、先の『無限後背』でもあります。
あるいは『ヤマアラシのジレンマ』のように、近づいて、離れて、をずっと繰り返すのかもしれません。

 

「いつから 【接(つ)ぐ枝(え)】は無し?」
「接ぐ枝」は例の臍の緒でもあり、『ザ・バイオリニスト』『中国脳』『六次理論』です。
たとえば『六次理論』では、六人を介すると、必ず世界のどこの人とも関係があるというアレです。
また、「枝」はそれぞれの世界であり、この概念においては『パラレルワールド』でもあります。

いつから、繋がらなくなったのでしょうか。

 

「【学者殺し】」
『フェルマーの最終定理』『相対性理論』など、文字どおり学者殺しの命題です。
また、『食事する哲学者の問題』でもあります。皿とフォークの準備は万端か。

 

「【歯車は空に吊らばこそ】」
『ブラウン・ラチェット』です。架空の歯車。

 

「【努(ゆめ) 々 に 夢む】」
『邯鄲の枕』です。そんな夢を見た。

 

「【答は然程に遠いのか?】」
『ルイス・キャロルのパラドックス』であり、『無限後背』です。
アキレスが亀の問答に答えると、亀は無限後背を仕掛ける気が満々ですので、ずっと問答が続いてしまう。答えはあんなにも遠い。

 

 

「せいぜい【枝(し)を手折れ!】」
ここの「枝」も世界線、『タイムパラドックス』では自分の世界線を折ってしまいます。帰れないね。

 

「ああ 【故なき居丈の竃馬(いとど)】」
『邯鄲の枕』です。
「竈馬」は旧くは「こおろぎ」のことでもあります。
「邯鄲」はコオロギ科の昆虫です。

 

 

「ああ 【ライアー・モンティー!】」
嘘つきモンティー!『モンティー・ホール問題』です。お茶の間に間違いを流しちゃった。

 

「【気紛れの様相】【タイプライターに罪は無いのさ】」
いずれも『無限の猿定理』です。シェイクスピアができるのは完全に運命の気紛れですし、タイプライターにも、それをたたく猿にも責任はありません。

 

「【うたた寝を 夢見鳥に変じた】」
『胡蝶の夢』です。

 

「【僕もまた君に変わりなく】」
『スワンプマン』に代表されるあれこれです。ある日沼地で落雷にあった男はそのまま死にましたが、なんの因果か、足元の泥が男を形作ります。なにもかも同一、記憶もあります。さてこの泥が作った男は、落雷にあった男と同じ存在でしょうか。
『パーフィットのパズル』『双子のクローン赤ちゃん』でもあります。
『双子の地球』でもあります。

 

「ねえ「【バベルの本】はまだ居ないの?」と」
バベルバベル言っていますが、バベルの塔ではありません。
『完全な図書館』『バベルの図書館』です。
その図書館にはすべてのものがあるでしょう。未来の詳細な歴史、ガンジス河の水が空飛ぶ鷹の影を映した正確な回数、フェルマーの定理の証明、それこそなんだって。

 

「【昨日街で見た少女】は問うてさ」
『世界五分前仮説』です。彼女は、ほんとうに昨日、存在したのだろうか。

 

「【一枚の 板きれを掴んだ 僕はまた君を手にかけたのか】」
『カルネアデスの板』です。緊急避難の概念。ふたりがつかまればふたりとも死んでしまう、頼りない板きれに後から掴まったひとを突き落とし、かれは殺してしまいます。緊急避難を適用すれば、これは罪に問われません。

 

「さあ 【テーター・エルヴィン!】」
テーターとはドイツ語で犯人。
エルヴィーン・ルードルフ・ヨーゼフ・アレクサンダー・シュレーディンガーのせいで、想像上の猫がばかばか死にます。大量殺猫犯です。おまえが犯人だ!

 

「生真面目な動揺」
ええーっ!なんだってー!

 

「【開かない箱には鳴かない猫を】」
まんま『シュレーディンガーの猫』です。

 

「【知らぬこと 知れぬことを解した】」
『ソクラテスの問答法』、『悪魔の証明』、『便器のクモ』、『不可知非実在仮説』、『逆転クオリア』、『マリーの部屋』、『死刑囚のパラドックス』などフルコーラスです。
ほんとうは知らないことをわかったような顔して。

 

「【僕の【枝(し)】はいつか君に満ち】」
『パーフィットのパズル』です。スワンプマンと似たような概念ですが。
火星に移動できる転移装置が開発されました。これは人の身体を傷つけながらその情報をすべてインプットします。インプットが終わったとき、その人は消滅しています。その情報は火星にある受信機に送られ、データをもとにすべての記憶や感情が完璧に復元されます。転送前の彼と転送後の彼は同じ人でしょうか。

その後、転移装置が改善され、情報インプットに身体を傷つける必要がなくなりました。地球の彼とは別にもう一人、火星の転移装置では情報をもとに復元された彼ができあがります。
しかし、実は転移装置には不備があり、彼の心臓に傷をつけてしまっていたのです。地球の彼は余命わずかです。
ここで地球の彼は火星の彼とおはなしします。「心配しないでも、仕事も家庭も自分が引き継ぐよ。」と火星の彼は語りかけます。確かに、自分の妻も同僚も火星の彼が彼であることを疑うとは思えません。
地球の彼が「し」んだ後も、彼は生き続けるというべきでしょうか?

 

「そう 【「三十日の僕は僕であるか?」】と」
『テセウスの船』です。
人間の細胞は日々入れ替わりを続けています。すべて入れ替わりが成功したあと、構成物質は全て違うわけですが、わたしはわたしであると言えるでしょうか。

 

「【舵を壊したテセウス】を通じて」
『テセウスの船』です。ゆく川の流れは絶えずしてしかももとの水にあらずです。スワンプマンであり、パーフィットのパズルです。

 

「いつの間に 僕のことを貫いた」
貫くのは枝。君の枝が僕を貫いたのです。

 

「【彼の死は僕をすこしだけ壊した。】」
『パーフィットのパズル』です。結局、彼は彼と同一にはなりえなかった。

 

「【――君を求めて。】」
『ザ・バイオリニスト』です。
僕は君に求められている。世界中で、僕しか君を救い得ないのである。

 


以上です。長々とお付き合いいただきありがとうございました。
わたしもにわか知識で書いていますので、ここがおかしいんじゃないのか~~とかここの解釈をもうちょっとしてほしい~~とかありましたら、お気軽に連絡ください。

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